兵庫県南西部に位置する町、姫路。皮のなめしを行うのに相応しい穏やかな流水を擁する河川と広い河原に恵まれ、古くより地場産業である皮革とともに発展してきた姫路は日本の「皮革のふるさと」として知られています。我々もこの土地で靴を製造し続け、50 年の歳月が流れました。地元で生産される皮革を常に間近で見て、嗅いで、触って、素材の良し悪しを確かめる。長年、靴作りに最適な素材を探求してきました。地の利と経験を生かし、ご依頼者様へ最適な素材を提案したり、場合によってはご要望に合わせ素材を一から開発する。それが我々の強みといえます。
古くは4~5世紀から皮革の生産が行われていたといわれています。現代では行われない流水を使用した皮革の生産が行われていました。姫路の市川の流水で生産された皮革は古くより愛され、戦国時代には色鮮やかに染色がなされ、様々な武具やその装飾に用いられました。
なめしを行う前の原皮。皮に余分な肉や毛がついた状態です。余分なものを取り除き、時間をかけてなめしていくことで「皮」から「革」へと変化させていきます。
姫路では現代では生産されることの少なくなった、ピット(水槽)による植物タンニンなめしの技法が未だに存在しています。時間とコストがかかる非効率ともいえる技法ですが、天然素材の味や表情は化学薬品を使用して生産した革とは全くの別物といえます。
染色、艶出し等の工程を経て、製品の素材となる「革」が完成します。姫路には革を生産するタンナーが多数存在し、世界に誇れる高い技術を有しています。